お知らせ
プレスリリース
ポイント
ピアノの音色が奏者の意図した通り変化し得るかは100年以上解明されてこなかった。
1秒間に1000コマで鍵盤の位置を計測できる独自開発の非接触センサーを用いて、プロピアニストが様々な音色で演奏した際の鍵盤の動きを計測。
データサイエンスと心理物理実験により、演奏者が意図した音色がピアノ演奏経験の有無に関わらず、聴き手に知覚されることが明らかになった。
鍵盤の動きの特定の特徴のみ異なる打鍵が生み出す音は、異なる音色に知覚されることから、鍵盤の動きと音色の間の因果関係が同定された。
一般社団法人NeuroPianoおよび株式会社ソニーコンピュータサイエンス研究所の古屋 晋一 博士らのグループは、ピアニストの鍵盤操作がピアノの音色を変化させることを初めて科学的に明らかにした研究成果を発表しました。絵画や音楽といった芸術における創造性は、鑑賞者に多彩な知覚体験を生み出す能力に支えられています。しかし、楽器演奏において、音色がはたして変えられるのか、そのためにはどのような身体運動技能が必要かは、明らかにされていませんでした。
研究グループは、ピアノの鍵盤の動きを1秒間に1000コマの時間分解能で計測できる独自のセンサーシステムを開発し、プロピアニストらが様々な音色をピアノで表現している際の鍵盤の動きを計測しました。その結果、ピアニストが意図した音色は、ピアノ演奏訓練の経験の有無にかかわらず、聴取者が聴き分けることができることが明らかになりました。さらに、音色の違いを生み出す鍵盤の動きの特徴を同定することにも成功しました。
この発見は「ピアニストはタッチによって音色を変えられるのか?」という、100年以上未解決の問いに対して、ピアニストが培ってきた「タッチによる音色操作」が、単なる感覚的な比喩ではなく科学的に裏付けられた技能であることを示しました。本研究成果は、音色を生み出す具体的な動きの特徴を可視化・指導できる可能性が開け、効率的な練習や誤学習の予防につながります。また、高度な身体運動制御が芸術的知覚を形作ることを明らかにし、リハビリテーション、技能伝承、さらにはヒューマンインターフェース設計など多分野への応用が期待されます。
本研究成果は、2025年9月22日(米国東部時間)に国際科学誌「米国科学誌 Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)」で公開されます。
本成果は、以下の事業・研究領域・研究課題によって得られました。
JST 戦略的創造研究推進事業 チーム型研究(CREST)
研究領域:「信頼されるAIシステムを支える基盤技術」
(研究総括:相澤 彰子 情報・システム研究機構 国立情報学研究所 教授)
研究課題名:「信頼されるExplorable推薦基盤技術の実現」
研究代表者:後藤 真孝(産業技術総合研究所 上級首席研究員)
研究期間:令和2年10月~令和8年3月
ムーンショット型研究開発制度(MOONSHOT)
研究領域:「2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現」
(研究総括:萩田 紀博 大阪芸術大学 芸術学部 アートサイエンス学科 学科長・教授)
研究課題名:「身体的能力と知覚能力の拡張による身体の制約からの解放」
研究代表者:金井 良太(株式会社 アラヤ)
研究期間:令和2年10月~令和8年3月
こちらの研究の詳細については、下記リンクよりご確認お願いいたします。
プレスリリース
お知らせ
メディア掲載情報
『ミュージック・エクセレンス・トレーニングセンター』を始動
Lecture
【開催レポート】「演奏家のための科学」講義&コーチング vol.3
Academy Program
【インタビュー公開】古屋晋一×高坂はる香さん(後編)
© 1993-2024 Sony Computer Science Laboratories, Inc.
© 2021-2024 NeuroPiano Inst.
© 1993-2024 Sony Computer Science Laboratories, Inc.
© 2021-2024 NeuroPiano Inst.